読書

読書好きにおすすめ! 角田光代『さがしもの』

あまどり

今回は2008年に出版された角田光代さんの『さがしもの』を紹介します

こちらは2005年に『この本が、世界に存在することに』が改題され、文庫化されて出版されたものになります

作品の特徴、どんな人に読むことをオススメするか、個人的な感想を極力ネタばれなくお伝えして、読んでみようかなーと思っていただければと嬉しいです

作品の特徴

この作品の構成は9つの短編集+著者のエッセイという構成となっています

ざっくり紹介すると…

主人公が同じ本との出会いを繰り返す 「旅する本」

旅先で出会った本からこれまで手に取った人たちへ思いを馳せる 「だれか」

旅館の部屋に置き忘れられていた詩集の中にあった手紙の背景を想像する 「手紙」

同居していた恋人との本棚から思い出を振り返る 「彼と私の本棚」

持っていたら不幸になる?本と主人公の交わりを描く 「不幸の種」

伝説の古本を探す「引き出しの奥」

うしろめたさを抱える小説家が地元の本屋に戻り告白をする「ミツザワ書店」

祖母から頼まれた1冊の本を探し続ける少女の物語「さがしもの」

好きな人に自分の好きな本を送ろうと試みた女子大学生のお話「初バレンタイン」

一貫して軸となっているのは「本」にまつわる話だということです

それに加え、著者の角田光代さんのこれまでの本の向き合ってきた体験を描くエッセイが収録されています

こんな人におすすめ!

・シンプルに本が好きな人

この本を手に取って読んでいる時点でほぼ読書が好きな人なのかもしれませんが、

これまで様々な読書体験を経ている方々にとっては

「あ、自分もこんな経験ある!」

「ここめっちゃ共感できるなー」

といった刺さるポイントがいくつもあるんではないかなーと思います

・ほっこりする読書体験を気軽にしたい人

解説の部分含めて、236ページなのでそこそこ短めの本作

(まあそれを少ないと取れるかどうかも人それぞれかもしれませんが…)

それでも1つ1つの作品は短編なので手軽に読めますし、

基本的に小難しいことが書いてあるようなものではなく、

日常に寄り添うようなお話がメインなので、読んだらほっこりした気持ちにさせてくれるはずです

個人的感想

この作品は、本が好きな自分にはすごく刺さった作品です

本好きなら本に関する思い出が数多あるものと思います

自分の場合、小学生の時におじいちゃんに買ってもらった昆虫についての解説付きの漫画図鑑

萩の本屋で読書感想文何にしようかと悩んで買った山田悠介さんの『ライヴ』

読んだ後衝撃的過ぎて、その後ミステリ漬けになった綾辻行人さんの『十角館の殺人』

振り返ればまだまだたくさん出てきますが、この辺にしておいて…

読書好きの数だけ本との思い出は無限大なのだと思います

本の魅力について、角田さんは次のように書かれていました

本の一番のおもしろさというのは、その作品世界に入る、それに尽きると私は思っている。

角田光代 『さがしもの』

本そのものが、読み手にその作品の数だけの世界を見せてくれること

さらにこの『さがしもの』の短編ごとで描かれているように、

私自身の思い出と同じように、本との出会いが思い出となり物語になるということ

また、角田さんがエッセイの中でサン=テグジュペリの『星の王子さま』の思い出について語る部分で触れているように、

同じ本でも読み手である自分が変われば見え方が変わるということ

この作品は自分にとって本とは?読書とは?を改めて考えさせてくれて、

本好きで良かったと思わせてくれた作品です

まとめ

いかがだったでしょうか?

少し自分語り多めだったかもしれませんが、

それくらい思い入れがあると思っていただければ幸いです

角田光代さんの作品は他にも魅力的な作品がたくさんあるので、またぜひ紹介していきたいですね

ではではー

ABOUT ME
あまどり
あまどり
大阪在住、一児の父です。主に英語に関することをまとめたブログとなっております。とはいえあんまり縛りなく自由に書いているので、気楽に読んでもらえたら嬉しいです!
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